2010年4月18日日曜日

鐘巻銅鐸の修理

 鐘で知られる道成寺には、安珍清姫の釣鐘よりも、さらに古い鐘があります。

 それが、この銅鐸です。


この銅鐸は、道成寺の南にある水田から1762年頃に発掘され、発掘場所の地名から「鐘巻銅鐸」と呼ばれます。


実のところ、釣鐘と銅鐸は音の鳴らし方が異なります。
釣鐘は撞木(しゅもく)と呼ばれる棒で鐘の表面を叩いて音を発生させます。
一方で銅鐸では、舌(ぜつ)と呼ばれる棒を内側につるし、それが銅鐸内側と触れ合うことで音を発生させます。
音を外側から鳴らすのか、内側から鳴らすのかで大きく異なるわけです。


さらに付け足せば、この鐘巻銅鐸は弥生時代後期に作られたもので大きく、欠損部があることを踏まえても116センチ以上あります。

ここまで大きくなると、吊り下げて内側から音を鳴らすには負担が大きくなってしまうため、実際には「音を聞く」ものではなく「装飾を見る」ものだったのではないかと考えられています。


近年では破損が著しいこの鐘巻銅鐸は、奈良県にある元興寺文化財研究所によって修復されることになりました。
修理の完了は来年三月を予定しています。




(朝倉)