少し前の4月30日、歌舞伎座の閉場式に伺いました。
歌舞伎座で最後に演じられる『京鹿子娘道成寺』を拝見するためです。
もっとも、「歌舞伎座の最後の演目」は、正式には、四月公演千秋楽の「助六由縁江戸桜」(すけろくゆらいのえどざくら)になるのだそうです。「助六」は江戸歌舞伎を代表する曲ですから、本公演の最後を飾るのは当然のことでしょう。
また、「口上」や「手締め」も一番として扱われるので、舞踊では無いものの、閉場式の「手締め」が最後の演目とも言えるそうです。
複雑で、味わい深い歌舞伎の事ですから、「歌舞伎座最後の演目」は、助六・手締め・娘道成寺と、三通りに受け止めるべきなのでしょう。それにしても、「京鹿子娘道成寺」が歌舞伎の世界で特別な曲であることが実感された出来事でした。
歌舞伎座の閉場式のメインの演目は、白拍子五人で舞う特別な「京鹿子娘道成寺」でした。
白拍子が五人そろった幕切れを客席から拝見し、思わず涙がこぼれました。
(副住職 小野俊成)